フォト
無料ブログはココログ

書籍・雑誌

2014年5月 5日 (月)

黒書院の六兵衛 読後

浅田次郎さんの黒書院の六兵衛を読んだ。
読後は清々しい。

無血開城を迎える江戸城に居座り続ける謎の武士、的矢六兵衛。
彼は何者なのか?目的は?
周辺の者たちの証言で、物語が進行していく。
時代背景や、江戸城内の様子をからめながら進められる物語は、読みやすい。
六兵衛の正体を探りながら読みすすめる感じは、ミステリー。
六兵衛は架空の登場人物でありながら、当時あまた実在しただろう平凡にして高潔な武士の”思い”の化身に思える。
だから、ファンタジー小説でもあるのかな。。

長きにわたる世襲政治、既得権益の生み出す富。
人を狂わす原因は、時代が変わっても同じだなと思う。
そして高潔な精神や優秀な能力を持つにもかかわらず、世の中に影響を及ぼすことができない立場にいる名もなき人物。
そんな人はきっと、現在もどこかにいて、無念な思いを抱いているのではないかと思う。

”公”ではなく”個”の損得で物事を判断する政治家。
暴力で物事を解決しようとする教育者。
誰かを持ち上げ、つきおとし、その場のおもしろさだけで右往左往するマスコミ。
弱者の皮をかぶった怠け者。
本物の弱者が救われないシステム。
消滅しそうな、美しい文化や芸術。

危機感を感じ、現代の黒書院でじっと座り続ける六兵衛はどこかにいるのだろうか?


2014年4月24日 (木)

村上海賊の娘 読後感想

謎解きはディナーの後でを読んでから、本屋大賞受賞作品というものをあまり信用してなかったのだけど。
これは、おもしろい!
痛快時代劇! 間違いなく映画になるなあ。それを意識して書かれている感じすらある。

歴史小説の醍醐味は、史実と創作の絶妙な融合感にあると思う。
史実自体、当時の文献などから推測するわけだから、その文献の内容自体が正しいかどうかもわからない。
いろいろな説があるだろう史実をひもといて、作家が想像力をふくらましていく。
歴史上の有名人物が、こんな風に出会っていたかもしれないと思うだけでワクワクする。
でも、なにもかも創作でかかれてもおもしろくない。
あるかもしれないと思わせる、ち密な史実の研究がわかりやすく説明されながら物語が進んでいく。
その進め方に、違和感はなく、本当に巧みな作家さんだと感心する。

一方、海賊たちの友情や恋愛や戦いに関しては、漫画チックに描かれていく。
当時の人間の価値観(それがどんなものかはわからないけれど)ではなく、現代の人間の価値観で人間関係が描かれていく。
ある時は吉本新喜劇のように、ある時は韓流恋愛ドラマのように、ある時はアクション映画のワンシーンを見るかのように。
まったく飽きさせない展開だ。
数限りなく人が殺されていくわりに、極悪非道の登場人物はいない。登場人物は敵も味方も個性豊かでそれぞれに魅力的。
そこが後味の良さにもつながる。

人が何に命をかけるのか?
命をかけてまで守ろうとしたものは、ことは意味があったのか?

最後は読者それぞれが、自分の生き方をちょっと考えてみようかな?と思わせるように締めくくられる。

何百年という時の流れの中では、私なぞ塵のような存在だけど、何かに流されるのではなく自分の意思を持って生きていきたいなと感じたな。

良い、作品でした。


2014年4月 7日 (月)

知念実希人 ブラッドライン 読後感想

久しぶりにおもしろい!とおもえる小説だった。
”優しい死神の飼い方”を読んで、それなりに気に入ったので同じ作家さんの作品を読んでみようと手に取ったのだけど、これがヒット!
一気に読み終えてしまった。

物語は、教授選を控えた大学病院で、2人の教授候補が命を落とす。
主人公である死んだ教授候補の息子が、父の死に疑問を持ち、解き明かそうと動き始める。
彼の前に立ちはだかる妨害。カギを握る人物の死。深まる謎。
テンポよく物語は進み、意外性のある結末に向かってパズルのピースが一つ一つはまっていく。
そんなミステリを軸に、家族の絆や古い因習にとらわれる人間の愚かさなどが人間臭く絡まっていく。

作家さんが医師のせいか、冒頭の緊迫した手術シーンはリアルで映像を見ているような錯覚に陥る。
ワクワク、ドキドキさせつつ、どこか冷静な物語の運び方に、好感が持てる。
ほんとのところ、”優しい死神の飼い方”はちょっと読後感が物足りなかったのだけれど、これは満足。
おもしろいよ!と人にすすめたくなる作品だった。

2014年4月 4日 (金)

知念実希人著”優しい死神の飼い方”読後感想

舞台は古い洋館を改装したホスピス。
未練を残しながら死にゆく患者の魂を救うため、死神が犬に姿を変えて現れる。
古い洋館とのかかわりを持つ患者たちの物語と洋館で起きた殺人事件を絡ませながら、死神と人間の友情を描くファンタジー的な小説。

犬が人間界のものを平仮名表記で表現するのだけれど、これがわたし的にはイラっときてしまう。
これは、文章的な好みなのかもしれないけれど。
普通にサラっと流してくれ!と思ったりして。

作家が医師であるせいか、限りある命を精一杯生きるべし。というエピローグに思いが詰まっている。

物語は優しく、ミステリー的な部分も伏線が張られていて、読者の想像通りに進んでいく。
え?!となることはないので、ワクワク感には欠ける。
でも、コメディタッチの犬のつぶやきがかわいいので、退屈せずに読み進むことができる。
もうちょっと意外性というか、どんでん返しというか、最後の最後にえー!!っということがあると、もっと面白かったのになあ。と思う。

だって、最近の現実はドラマチックだもの。

ドラマティックといえばオリンピックの浅田真央選手。

うちの真央ちゃんはこんなに上手なのに年が足らずにオリンピックに出られないなんて…と全国民が真央ちゃんの身内になった気分で憤慨した8年前。
それから4年後のバンクーバー。わずかなミスで悔いの残る銀メダルと次への思い。
なにもかも捨てて一からやり直して、苦しみぬいた4年間。
そして、ソチ。
真央ちゃんの身内気分のファンたちは思っていた。
メダルより、真央ちゃん自身が悔いのない演技をしてくれれば……
なのに、悪夢のようなSP。
この8年間一度も見たことのないシーン。

小説なら、その翌日の最高の演技など、嘘臭くて読んでいられない。

でも現実は、TVの前で号泣。
こんなことができる人がいるのだ。
作り物のお話が薄っぺらく感じる、現実の感動。

現実の感動には勝てないかもしれないけれど、読みながら号泣できるようなお話を読むのも楽しい。

だから、ガンバレ小説家!

2012年7月 7日 (土)

3万円の雑誌

ジャーン!!!
買ってみました!3万円の雑誌!
ハースト婦人画報社のリシェスという雑誌。日本国内の女性誌じゃ過去最高額だそうな。
資産数十億ってハイクラスの女性向けに創刊された雑誌らしい。
ありゃ、私しゃ、お呼びでなかった。
ごめんね、買ってしまって……
でも、それなら創刊号300万くらいにしとかなきゃ、買っちまうぜ。
ブランド好きのミーハーなんだから。

Web_p7060294

まあ買った理由は雑誌の内容でも何でもなく、オマケ。
そう、象彦製グッチの菓子器が欲しかったのよー
最近の雑誌、バッグやポーチやとにかくオマケ花盛りだけど、さすがに別格!
あのグッチが漆塗りの菓子器ですぜ、奥さん。
そのデザインたるや、真っ黒な漆塗りの中央に、ゴールドでグッチ!!!
侘び寂びのかけらも感じられないこのわかりやすさ!
「この紋どころが目に入らんかー」っつー凄まじさ!
いやー、一目惚れです。

実物を見ると、菓子器本体はなかなかなもの。
まーゴールド部分の発色にやや難アリか?
でも、グッチさんも象彦さんも雑誌社も儲けなきゃならないですから、がんばって作ったよなと思います。

ところで、この雑誌の中身。
掲載されている服やアクセサリーの金額が、老眼で見えない!
だって0がいーっぱいならんでるんだもの……
6億のネックレスって一体何?
撮影するときに、ガードマンは何人くらいいるのだろう?

世界の大盗賊の皆様。
平和な日本の雑誌社、結構狙いどころだと思いますぜ!!!
へっへっへ……

2012年6月18日 (月)

蜩ノ記 読後感想

よかったです。切ない物語でした。
能力があり、正義感にあふれ、人として尊敬される戸田秋谷が、その潔さ故に切腹を選ぶ。
その高潔さには、切ない感動を覚えます。
秋谷を救いたいと願い、理不尽なことに立ち向かっていく庄三郎の懸命の行動にも男気を感じます。
父を尊敬し、友を思う息子郁太郎の思いと行動、登場人物の中で最も心根が美しく哀れな源吉。
魅力的な登場人物を随所に配し、正義とはいったいなんなんだ!と作者が問いかけてきます。
直木賞を受賞しただけあるわ。
とても読み応えのある作品でした。
切腹を控えこの世に未練は無いと言う秋谷に、それでは遺される者達への心遣いがないという和尚の言葉が印象的。
死を覚悟するということは、いったいどういうことなのかと考えさせられます。
”正義”とは縁のない政治家や、ニセ弱者が横行しているように感じる最近の世の中。
命をかけるという生き方に憧れを感じた読後でした。
武士ってかっこええなあ・・・

2012年5月 4日 (金)

おれは清麿 読後感想

久しぶりに爽快な読後感が残って楽しかった。
山本兼一さんは、人の生きざまを描くのが上手いなあ。
刀鍛冶清麿の人生を一気に楽しんだ感じだった。
刀なんて、時々美術館でちらりと目にするだけで、大して興味もなかった。
こんなに奥の深いものだったんだなあ。
You Tubeを検索していたら、刀のできるまでとか刀の鑑賞とかいろんな動画がでてきてびっくり!
小説を読んだあとで見たので、リアルだった。
でもYou Tubeで情報を手に入れると、いつもどっか罪悪感を感じてしまう。
いいんだろうか、こんなに手軽で……
というのはおいといて。
男っぷりが良くて魅力的、行動力があって、仕事にのめりこむ天才刀鍛冶。
いー男だよなあ。でも、やっかいな男でもある。
天才の女房は、苦労するって相場が決まっているよね。
相場どおり清麿の女房も苦労人。夫に捨てられたも同然。
気の毒な……
女にはもてちゃうし、上手にくどくし、夢中になる仕事はあるし。
自由きままに生きていて、運命の女まで見つけちゃって、女房と子供は蚊帳の外。
でも仕方ない。
そんな奴なんだもの。
破天荒な生き方、謎の自害。
懸命に刀を鍛えるシーンの繰り返しにちょっと飽きそうだったけど、さらりと上手くまとめられた上質の歴史小説だったと思います。

2012年4月20日 (金)

夢違 読後感想(ネタバレ)

夢を可視化する技術が開発される。
そして、その内容を判断する医師の様な職業”夢判断”が存在する。
子供たちの集団失踪事件をきっかけに夢判断を職業とする主人公は予知夢をみる旧知の女性を探すことになるが。
事件と女性のかかわりは?女性は存在するのか?

ファンタジーですね。
ホラーというには優しすぎる。

読んでいてふわふわした浮遊感を感じる作品であるというのは、すごい!
ぐぐっと引き込む文章力がなければ、現実感がなくて飽きてしまうから。
思わず読ませてしまう魅力あふれた作品だった。
こういった小説に辻褄があうとかあわないとかいうのは、ナンセンスかもしれない。
でも、ぐいぐい引き込まれる後半までの展開に比べて、最後はあまりにも多くの謎をのこしてあっさり終わってしまった。
なので、読後感があーおもしろかったーとはならないのが残念。
すごく上手いし、発想も豊かなのになんかもったいないーという印象。

私も時々とんでもない夢を見る。
この小説では、夢は外から来るという表現が何度も使われる。
人類全体が共有する巨大な無意識の中から夢がふわりと現れるのかも?
という発想は面白いね。
幽霊や幻のような本来目に見えないものが本当に見えないものなのか?
何らかの発達によってそんなものが可視化される時代がくるのか?
じゃあ目に見えることは真実なのか?いや、違うだろう。
では見えないものが真実?
人類はどこに向かって進んでいくのかな?
そんなことを考えちゃったなあ。

2012年3月11日 (日)

謎解きはディナーのあとで 読後

本は図書館で……の私。
こんなに待たされた本は初めてです。人気あるのね……

本屋大賞って!
本好きの本屋の店員さんが選んだとは思えない!
嘘やろー!
とのけぞりました。

文章も内容も読みやすい。
子供でも読める。
でも私が子供の頃夢中になった江戸川乱歩の少年探偵団シリーズの方が断然ドキドキしたな。
マンガちっくな設定なんかは、少女趣味の私としては好きなんだけど、内容がない。
文章力でぐぐっとひっぱられる感じも無い。
くすくす笑えるユーモアもない。
あー脱力。

本屋大賞が信じられなくなっちゃったなあ。
他の候補作のがよかったんじゃないかなあ……

2012年3月 1日 (木)

春から夏やがて冬 読後(大いにネタバレ)

愛娘の轢き逃げ事故死、妻の自殺、自らの重い病。
そんな苦悩を背負うスーパーの保安員と万引き女性のものがたり。
と思って読んでいると、どことなく退屈……

なんか、イマイチ……と読者に思わせる。

ところが、後半突然に主人公の保安員が万引き女性を殺害する!
え、え、えー、なんで?
復讐?復讐ッテ……まさか!
読者は轢き逃げ犯と万引き女性の関連を想像し、想像通りの内容が展開される。

いくらなんでも、こんな偶然無いでしょ……と読者に呆れさせる。

残りわずかなページになって、主人公の主治医の目から見た真相が語られる。

そ、そ、そうだったのか……

読者を退屈させておいて、どんでん返し。
内容を想像させておいて、どんでん返し。
その想像が間違いであったことを納得させて、そうだったのかと終わらせる。
構成のなかなか巧みな小説でした。

巧みなんだけど、胸にくるようなものがない。
ミステリーというには、ミステリー要素にも乏しい。
余命が限られた主人公という存在が、お金を使うにしても、殺人を犯すにしても、どこかしまらない設定だったかも。
どっちみち死ぬんだから……みたいなあきらめが感じられて。

自分の命とひきかえにしてでも娘の復讐を遂げようと考える隠れた顔を持った寂しい保安員。偶然で会った万引き犯。
万引き犯に娘を重ね合わせて手を差し伸べようとする一方、犯人である疑いを持ち始め……そして。
みたいな設定ならミステリーっぽかったけど。

直木賞候補作ということで、期待して読んだわりにはちょっと期待はずれだったかなあ。
ちょっと残念!

最近のトラックバック

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31