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2011年6月16日 (木)

船に乗れ! 読後感想

藤谷治さんという作家さんも存じ上げずに読んだ作品。
きっかけは、”シューマンの指”の読後、音楽を志す少年の繊細な感性に触れるような作品が読みたくなったから。
いろいろネット検索していて見つけた作品です。
でもこれって、2010年の本屋大賞のノミネート作品なので、私って相当遅い。。。
去年はあんまり本屋さんに行かなかったからなあ。。。

読後に「この作家の作品は他もいろいろ読みたい!」と思う作品になかなか出会わない。
ストーリーだけで小説を判断すると、どのストーリーもおもしろくかかれているかどうかわからないものね。
作家の人格とか、考え方とかそんなものに共感できないと他の作品も読みたいって気持ちになりにくい。

この作品は、自伝的な小説のようなので、とてもリアル。
作家さんの青春時代の息遣いが感じられるような作品だ。
内容は音楽学校で学ぶ少年の学校生活や恋愛、友情を描いた苦い青春小説。
ストーリーも、おもしろい。
どこまでが自伝で、どこからが創作なのかはわからないけれど本当に盛りだくさんな青春だ。
生意気で自分が上等な人間だと思っているのは、若い頃なら皆そうかもしれない。。
頭を使って考えているから、感じているから、影響を受ける人物に出会い、影響を受けていくのだ。
中身の濃い、高校時代をすごしてきた人だなあと、羨ましくもねたましくも感じられる。
私なんか、からっぽだあ。。。。
そんな経験が、こうした引き込まれるような美しい文章になっていくんだろうな。
オーケストラや文化祭の練習をするシーンなんかは、呪文のような専門用語がとびかって、楽しい。
実際コンサートに行くと、すんなり演奏されて拍手喝采となるのがあたりまえのように思っていたけれど、合わせるのってこんなに大変なんだ。
これからは、注意して聴こう。
青春だもの、恋愛や友情もすんなりいかない。
でも、周りには純粋で善良な、感性豊かな努力家ばかりがいる。
嫌な奴がこれだけ出てこない小説も珍しい。
肉親も友人も恋人も先生も、品性の下劣な人物は出てこない。
この小説は、苦いけれど、愛にあふれている。

藤谷さんは、本当に育ちが良いのだと思う。
育ちが良いというのは、単にお金持ちとかいうのではない。
美しいと感じる感性とか、人を愛するとか、愛されるとか、誰かを尊敬するとか感謝するとか。
そんな感情の豊かな環境で育った人って事だと思う。
こういう作家さんが、美しい文章で物語を語ってくれると、ゆったり読めて楽しい。
読後の後味がとても良い。美しいものを見たり、音楽を聴いたりしたくなる。ちょっと涙もでる。

最近の本の題名って、まず興味をひこうとあの手この手!な感じがする。
書店に行って平積みされている本を見ると、宣伝コピーみたい。
「船に乗れ!」
最初、この題名見たとき、悪いけど「センスない題名やなあ」と思った。
だって、内容のイメージがわかない。
何?お船の話?みたいな。。
でも、この題名じゃないとダメだ。。
ねえ、金窪先生。

良い作品読ましてもらいました。
しばらく藤谷治さんの作品を読むことに決めた!

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