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2011年5月31日 (火)

もう一つの「シューマンの指」

【シューマンの指】すごくおもしろくて、久しぶりに堪能した小説だった。
でも、違う結末もいいんじゃない?妄想しだしたら止まらないので書きました。
原作ラスト、恵子さんの手紙の直前でこちらの手紙にルート変更!
妄想!もうひとつの【シューマンの指】最終章

~はじまり~

恵子さま

返事が遅くなり申し訳ありません。
里橋が指を残して失踪したとの手紙を受け取った時、私は激しい嫉妬で自分を見失っていました。
あなたに返事をしたためるなど、思いもよらなかったのです。
ただただ、里橋が羨ましく、恨めしく、屈辱にうち震えていました。
誰よりも罪深い自分が命を絶つこともできずにいるのに、里橋はこうもみごとに消え去るのかと。
やはり最初からあいつにはかなわなかったのだと。
あれから自分がどのように過ごしてきたのか、記憶すらさだかではありません。
煙草の煙にまみれていた事だけ覚えています。

昨日医師から、余命宣告されました。
自ら命を絶たずとも、あとわずかで病が私の命を奪ってくれるというのです。
今、自分のすべきことがわかりました。
あなたにすべてをお伝えすること。
その為にいくらかの時間が与えられたのだと思いました。
すべてを、そして真実をお伝えします。

岡沢美恵子を殺したのは、里橋の推理どおり私です。

当時、私は修人に溺れていました。
愛しているとか恋しているなどという表現では足りないほど。
「先生、好きだよ」
囁く修人を腕の中に捕えながら、彼の心が別の誰かを想っている恐怖に震えていました。
里橋が奏でるピアノに、静かに耳を傾ける修人の美しい横顔に、怒りを覚えていました。
彼の両耳を強く塞ぎ、乱暴に抱きしめると修人は笑いながらいうのです。
「先生は、耳を塞げば聴こえなくなると思っているの?」
修人と里橋が特別な関係にあるとは思っていませんでした。
それでも、私は里橋に激しく嫉妬していました。
このままでは修人が私の元から去ってしまうのではないか?
私のことなど忘れてしまうのではないか?と。

あの夜、岡沢美恵子があとをつけているとも知らずに私たちは逢瀬を楽しんでいました。
私たちが彼女の存在に気付いた時、彼女は一瞬逃げようとしました。
が、修人の乱れた姿を見て、立ち止り叫んだのです。
「このオカマ教師!変態!学校にいられなくしてやる!」
私は彼女につかみかかり、押し倒しました。
激しく抵抗する彼女を押さえつけながら明確な殺意を抱いていました。
私は冷静に彼女を殺したのです。
修人は静かにその様子を見ていました。
私は修人を安全に逃がした後、自首しようと考えていました。
二度と会うことが叶わなくとも、これで私の存在が彼の記憶から消えることはなくなった。
そんな不思議な達成感を感じていました。
しかし、その場にもう一人、末松佳美がいたのです。
末松は岡沢に誘われて学校に来たらしく、場所を探すのに手間取って最悪のタイミングで現れたのです。
何が起こっているのか理解できず、ぼんやりと立ちすくんでいました。
この鈍い女生徒の存在で、誰にも知られず修人を逃がすことができなくなったのです。
末松も殺すか?私の頭の中によぎった考えを行動に移そうとした瞬間、修人が口を開いたのです。
「ねえ、手伝ってよ」

修人に想いをよせていたのは末松です。
その想いを知りながら美恵子は修人に興味を持ち、佳美に見せつけるような態度をとっていたようです。
表面上は友人のように装いながら、佳美は美恵子を心底憎んでいたようです。
修人の提案に彼女はこっくりと頷きました。
私は自首をあきらめ、シナリオを考えました。
あとは里橋の推理どおりです。

あの場に、里橋がいるとは思いもしませんでした。
里橋が唇に指をあて、私の元に近づいてきた時、悟りました。
修人と里橋は、奇跡めいた何かでつながっているのだと。

別荘であなたが事件についてふれたのは意外でした。
そして、まだあの事件は終わっていないのだと思い知りました。
それでも私はあの企みを実行せずにはいられなかったのです。
修人が自由になる。それだけでよかったのです。

修人と里橋が溶け合うように接吻している姿に私は凍りつきました。
さっきまで私の腕の中で嘯くように甘く囁いていた修人とは別人でした。
嫉妬の黒い闇の中でたちすくむ間に、企みは進んでいきました。
佳美は私のシナリオ通り演じきり、私を別の暗闇にひきずりこみました。

共犯者だという安心感からあの女の考えを読み誤っていました。
落ち着いたら修人を追ってアメリカに行くというのです。
その権利が自分にはあると。
秘密の共有が、修人から愛される権利を有しているのだと。

自殺に見せかけて佳美を殺害したのも私です。
安心してください。
里橋は何のかかわりもありません。
ただ、勘の良い彼は、なにかに導かれるように現れました。
そして、私のしたことを理解し、彼の心の闇へと葬ったようでした。

彼が音楽から遠ざかり、新たな進路を選んだことに安堵しました。
修人との接点もなくなったはずだと。
私は淡々と平凡な生活を続けることができていたのです。

あなたからの手紙を読むまでは。

私は絶望しました。
修人を理解しているのは里橋だけだと。
修人の中にいるのは里橋だけだと。
修人の中に私など、最初から存在していない。

里橋が残した指は、修人そのものです。
彼は里橋の「かけら」だったのだから。
あいつは修人を自由にして消え去ったのです。
修人に執着している自分のあさましさにうちのめされていました。

今、こうして貴女に告白をして、気づいたのです。
修人の肉体の奥深くにわずかでも私の体温は残っていたのではないかと。
里橋はそれを私に教えてくれたのではないかと。

私は救われました。
二人の少女の悪夢からも解放され、今心静かに死を迎えることができます。

あなたがこの手紙を受け取る頃、私はこの世におりません。
二人の少女の遺族にも、真実を告白いたしました。
だから、重荷に思わないでください。

長くなりました。
ありがとう。本当にありがとう。

吾妻豊彦

~おわり~

優が若くして失踪している設定。
鹿内君からの手紙を受け取った後に、手記を残して失踪って感じかな。
図書館に本返しちゃったから、原作の詳細が確認できない。
もう、原作と妄想が入り乱れてわからなくなってしまった。

切ない恋愛小説。
我ながらキュンキュンしちゃう。

電灯を消したお風呂で、幻想曲を聴いている時に湧きあがってきた妄想。
作家さんに怒られそうやな。。。。

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